勤怠管理システムの補助金・助成金を解説!申請方法と注意点も紹介
更新日 2026年06月18日

「勤怠管理システムを導入したいが、コストがネックで踏み切れない」という中小企業の担当者も多いのではないでしょうか。実は、補助金・助成金を活用することで導入費用を大幅に抑えられます。
本記事では、勤怠管理システムの導入に利用できる補助金・助成金3種類を、申請方法・注意点・採択率向上のコツまで詳しく解説します。
この記事の要点
- 勤怠管理システムで使える制度:デジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金)・働き方改革推進支援助成金・業務改善助成金の3つが主な対象
- それぞれの補助率:最大で導入費用の2/3程度が補助対象となる制度がある
- 補助金・助成金利用の注意点:補助金は後払いのため、まず自己負担で導入し、後から補助金を受け取る流れになる
勤怠管理システムの導入に補助金は使える?
結論として、勤怠管理システムの導入には複数の補助金・助成金が利用できます。特に中小企業・小規模事業者であれば、「デジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金)」「働き方改革推進支援助成金」「業務改善助成金」の3制度を活用できます。

補助金を 活用することで、数十万円〜数百万円のシステム導入コストの一部を国や都道府県が負担してくれます。「デジタル化・AI導入補助金」は2026年度より「IT導入補助金」から名称が変わり、AIを活用したツールの導入支援も強化されています。勤怠管理システムを含む多くのクラウドサービスが引き続き対象です。
デジタル化・AI導入補助金を使える勤怠管理システム【比較表】
デジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金)の実績があり、かつ中小企業に広く導入されている勤怠管理システムを7製品ピックアップしました。
サービス名 | 向いている企業規模 | 主な打刻方法 | 給与計算連携 | 無料トライアル |
|---|---|---|---|---|
KING OF TIME | 中小〜大企業 | PC・スマホ・ICカード・顔認証・指紋など | 各種給与ソフトと連携可 | あり(30日) |
ジョブカン勤怠管理 | 小規模〜中企業 | PC・スマホ・ICカード・LINE・Slack | ジョブカン給与と完全連携 | あり(30日) |
マネーフォワード クラウド勤怠 | 中小〜大企業 | PC・スマホ・ICカード | MFクラウド給与とシームレス連携 | あり |
freee勤怠管理Plus | 小規模〜中企業 | PC・スマホ・ICカード・生体認証・GPS | freee給与・freee会計と一気通貫 | あり(30日) |
タッチオンタイム | 中小〜大企業 | PC・スマホ・ICカード・指紋・顔認証 | 各種給与ソフトと連携可 | あり(30日) |
HRMOS勤怠 | 小規模〜中企業 | PC・スマホ・ICカード・GPS | SmartHR・MFクラウド給与など多数と連携 | あり(無料プランあり) |
スマレジ・タイムカード | 小規模〜中企業(店舗・飲食) | iPad・スマホ・スタンプ(ICカード) | スマレジPOSと連携(バックオフィス統合) | あり(無料プランあり) |
※上記はいずれも過去のIT導入補助金において補助対象実績のあるツールです。デジタル化・AI導入補助金2026での登録状況は、公式サイトのITツール検索(https://it-shien.smrj.go.jp/search/)でご確認ください。補助金申請はIT導入支援事業者との共同申請が必要です。
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利用できる補助金・助成金3種類まとめ
国内で勤怠管理システムの導入に利用できる主な補助金・助成金は以下の通りです。より詳しくは、それぞれの説明をご覧ください。
制度名 | 主な対象 | 補助率・補助額 | 主な用途 |
|---|---|---|---|
中小企業・小規模事業者 | 1/2〜最大4/5補助(上限450万円) | ソフトウェア費・導入支援費・クラウド利用料など | |
中小企業(労働者50名以下) | 3/4補助(上限150万円) | 勤怠管理システム等の導入による労働時間短縮 | |
中小企業・小規模事業者 | 3/4〜4/5補助(上限600万円) | 生産性向上のためのITシステム導入 |
デジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金)
デジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金)は、中小企業・小規模事業者がITツールやAIツールを導入する際に、国が費用の一部を補助する制度です。経済産業省(中小企業庁)が実施しており、2026年度より従来の「IT導入補助金」から名称が変更されました。
対象企業・補助率・補助額

対象となるのは中小企業・小規模事業者で、業種によって定義が異なります。製 造業・建設業では資本金3億円以下または従業員300名以下、卸売業では1億円以下または100名以下、小売業・サービス業では5,000万円以下または50名以下が目安です。
補助率は通常枠で1/2が基本ですが、条件によって最大4/5まで補助される枠もあります。補助上限は最大450万円(通常枠)。勤怠管理システムは「人事・労務」業務のデジタル化ツールとして対象になるケースが多く、ソフトウェア費・クラウド利用料(最大2年分)・導入支援費などが補助対象となります。
申請の流れ
デジタル化・AI導入補助金を申請する流れについて解説します。詳しくは『新規申請・手続きフロー詳細|デジタル化・AI導入補助金2026』を参照してください。
- IT導入支援事業者に相談する:まずデジタル化・AI導入補助金に登録された「IT導入支援事業者」を探し、相談する。平行して「GビズIDプライム」も取得しておく。
- 交付申請を行う:IT導入支援事業者と共同で申請書類を準備し、「申請マイページ」から申請する
- 採択通知を受け取る:審査を経て採択通知が届く。採択後にITツールを契約・導入する(採択前の契約・支払いは補助対象外)
- 実績報告を行う:導入後に実績報告書を提出する
- 補助金を受け取る:審査通過後に補助金が振り込まれる
注意点
- 採択前の契約は対象外:交付決定前にシステムを契約・購入した場合、補助対象になりません
- 登録ベンダー経由が必須:デジタル化・AI導入補助金の登録を受けたIT導入支援事業者が提供するツールのみが対象です
- 申請期限に注意:公募は複数の締め切りがあり、締め切りを過ぎると次の期まで待つ必要があります
働き方改革推進支援助成金
働き方改革推進支援助成金は、厚生労働省が実施する助成金制度です。中小企業が時間外労働の削減・年次有給休暇の取得促進などに取り組む際に、その費用の一部を助成します。
対象企業・補助率・補助額
労働者数が50名以下の中小企業が主な対象です。勤怠管理システムの導入は「生産性向上のための設備・システム導入」として対象になるケースがあります。助成率は対象経費の3/4(75%)で、助成上限額は最大150万円程度です(コースや取り組み内容により異なる)。
申請の流れ

働き方改革推進支援助成金を申請する流れについて解説します。詳しくは厚生労働省の記載をご覧ください。
- 交付申請書を提出:都道府県労働局に交付申請書と必要書類を提出する
- 交付決定を受け取る:審査後に交付決定通知が届いたら、事業を実施する(決定前の実施は対象外)
- 支給申請を行う:事業完了後に支給申請書・事業実施結果報告書を提出する
- 助成金を受け取る:審査後に助成金が支給される
注意点
- 取り組み目標の設定が必要:「時間外労働を月○時間削減する」などの具体的な目標を設定し、達成を証明する必要があります
- 事前の交付決定が必須:交付決定通知が届く前にシステムを導入・支払った場合は助成対象外です
業務改善助成金
業務改善助成金は、厚生労働省が実施する助成金で、中小企業・小規模事業者が生産性向上のための設備投資等を行い、事業場内最低賃金を一定額以上引き上げた場合に、かかった費用の一部を助成する制度です。
対象企業・補助率・補助額

事業場内最低賃金が地域別最低賃金を下回っている中小企業・小規模事業者が対象です。助成率は3/4〜4/5(事業場内最低賃金が1,050円未満の場合は4/5、1,050円以上の場合は3/4)で、助成上限は賃金引上げ額と労働者数に応じて最大600万円に達します。
勤怠管理システムの導入は「生産性向上に資するITシステム」として対象になる場合があります。賃金引き上げのコースは2026年度より50円・70円・90円の3コース制に再編(旧30円・45円・60円・90円 の4コース制から変更)。2026年度の申請受付は9月1日開始予定のため、夏までに準備を進めておくことが重要です。
申請の流れ
- 都道府県労働局へ交付申請:事業所の所在地を管轄する都道府県労働局に対し、交付申請をおこなう
- 設備投資・賃金引き上げを実施:決定通知後にシステムを導入し、申請内容に沿って事業を実施
- 支給申請:事業実績報告書および支給申請書を作成し、都道府県に提出。費用の支出は原則振込払いとし、振込記録が分かる書類を添付する
- 助成金の受給:審査後に助成金が振り込まれる
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3つの補助金・助成金の選び方・使い分け
どの制度を使うべきかは、企業規模・目的・導入ツールによって異なります。以下の判断基準を参考にしてください。
3つの補助金・助成金の選び方
- デジタル化・AI導入補助金
純粋にITシステムの導入費用を補助してほしい場合に最適。登録ベンダーのシステムであれば幅広く適用できる - 働き方改革推進支援助成金
労働時間短縮・有給取得促進を目的にシステムを導入する場合に使える。労働者50名以下の中小企業に特に向いている - 業務改善助成金
最低賃金引き上げと生産性向上を同時に達成したい場合。助成率が最大90%と高いが、賃金引き上げの実施が前提
複数の補助金を組み合わせることは原則できませんが、同じシステムでも年度が異なる申請は可能なケースがあります。詳細は各制度の公式窓口または社会保険労務士に相談することをおすすめします。
採択率を高める3つのポイント
各種の補助金・助成金の申請に際して、採択率を高める3つのポイントを説明します。
導入目的を具体的・数値的に記載する
申請書では「なぜこのシステムが必要か」を具体的に記述します。「集計業務を月○時間削減する」「36協定違反のリスクをゼロにする」「年次有給休暇取得率を○%から○%に引き上げる」など、数値を用いた目標設定が採択率向上に直結します。
実績のあるIT導入支援事業者と連携する
デジタル化・AI導入補助金の申請はIT導入支援事業者との共同申請が必要です。申請経験が豊富な支援事業者と連携することで、書類の不備を防ぎ、採択率を高められます。過去の採択実績を確認してから依頼先を選びましょう。
公募スケジュールを早めに確認する
補助金・助成金には公募期間があり、締め切りを過ぎると申請できません。早期に情報を把握し、書類準備・承認作業の時間を確保しましょう。中小企業庁・厚生労働省の公式サイトや、商工会議所からの案内を定期的に確認するのがおすすめです。
補助金申請でよくある失敗・注意事項
補助金や助成金の申請でよくある失敗や注意が必要な事項をまとめました。
交付決定の前に発注・契約・支払いをしてしまう
3つの制度すべてに共通する、最も多いミスです。補助金・助成金はいずれも「交付決定通知を受け取った後」に実施した取り組みだけが対象となります。申請を出した段階ではまだ決定ではなく、審査を経て交付決定通知が届いて初めて、システムの発注・契約・支払いに進むことができます。
「早く導入したいから先に契約してしまおう」という判断が、全額自己負担になる結果を招きます。交付決定が下りるまでは、見積もりの取得や社内での選定作業に留め、発注は必ず交付決定後に行いましょう。
対象外のツール・経費を申請してしまう
補助対象となる費用の範囲は制度ごとに細かく異なります。よくある誤りとして、以下のようなケースが挙げられます。デジタル化・AI導入補助金では、IT導入支援事業者として登録されていないベンダーのツールは対象外です。社内の人件費も補助対象には含まれません。
業務改善助成金では、2026年度から一般の自動車(特殊用途自動車を除く)が助成対象外となりました。また、申請コースは50円・70円・90円の3種類に再編されており、かつての30円コースは廃止されています。対象経費の要件は毎年改定されるため、申請前に必ず最新の公募要領で確認することが重要です。
書類の不備・記載漏れで申請が受理されない
申請書類に不備や記載漏れがあると、書類一式が返戻(差し戻し)されます。特に申請期限直前は各労働局・事務局に申請が集中するため、返戻後に修正して再提出する時間的余裕がなくなり、期限を過ぎて申請できなくなるケースもあります。
各制度には申請チェックリストが用意されています。提出前に必ずチェックリストを使って必要書類の添付漏れ・記入漏れを確認しましょう。また、業務改善助成金ではJグランツ(電子申請)も利用できます。郵送の場合は到達確認が難しいため、簡易書留など追跡可能な方法を使うことが推奨されます。
補助金・助成金は後払いであることを見落とす
補助金・助成金はいずれも「後払い(精算払い)」が原則です。システム導入にかかる費用は、まず全額を自社で立て替えて支払う必要があります。実績報告と支給申請を提出し、審査を経て初めて補助金・助成金が振り込まれます。この間に数か月かかるケースもあるため、資金繰りの計画を立てておくことが重要です。
導入費用が数百万円規模になる場合、一時的なキャッシュフロー不足が経営を圧迫することがあります。金融機関への短期融資や、自社の資金計画と照らし合わせながら申請時期を検討しましょう。
業務改善助成金の申請時期を逃す
業務改善助成金は2026年度から申請受付が9月1日開始となり、締め切りは地域別最低賃金の発効日前日または11月末日のいずれか早い日と、申請可能期間が例年より短くなっています。春〜夏(4〜8月)は原則として申請できないため、「いつでも申請できる」という感覚で準備を先延ばしにすると期間を逃してしまいます。
賃金引き上げのタイミングや設備投資の計画を、9月の受付開始に合わせて逆算して準備 しておくことが重要です。社会保険労務士への相談も含め、8月までには申請書類を整えておきましょう。
まとめ
勤怠管理システムの導入コストを抑えるには、デジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金)・働き方改革推進支援助成金・業務改善助成金の3制度が有効です。自社の規模・目的に合わせて制度を選び、採択率を高めるために目的の数値化・支援事業者との連携・早めのスケジュール把握を心がけましょう。
補助金の制度内容や公募スケジュールは毎年変更されます。申請を検討する際は必ず最新の公式情報を確認し、不明な点は社会保険労務士や商工会議所に相談することをおすすめします。
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著者
人事DX最強ナビ編集部
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