労務管理システムと は?メリットや勤怠管理システムとの違いを解説
更新日 2026年05月21日
労務管理システムとは、入退社や年末調整などの労務手続きをデジタル化・自動化するツール。手続きの自動化から法令対応まで、導入によって担当者の工数を大幅に削減できます。本記事では、勤怠管理システムとの違い・メリット・注意点・搭載機能・費用相場などをまとめて解説します。
労務管理システムのFAQ
Q. 労務管理システムが必要な理由は?
A. 法改正への対応・手続きの自動化・ペーパーレス化を、担当者の手作業だけで進めるのは限界があるためです。
Q. 勤怠管理システムとの違いは何ですか?
A. 勤怠管理は出退勤の記録・集計が目的で、労務管理は手続き・申請・情報管理が対象です。用途が異なるため、多くの企業が両方導入しています。
Q. 導入するとどんなメリットがありますか?
A. 労務業務の自動化・転記ミスの排除・ペーパーレス化により、担当者の工数を大幅に削減できます。

労務管理システムとは、入退社手続きや社会保険の申請・年末調整といった定型的な労務業務を、クラウド上で一元管理するツールです。
従来は紙やExcelで対応していた業務をデジタル化し、従業員がスマホから情報を入力するだけで書類が自動生成される仕組みです。APIでe-Govと連携すれば、ハローワークや年金事務所への申請もシステム上で完結します。勤怠管理システムや給与計算システムとは担当領域が異なり、労務業務における手続き・申請・情報管理に特化しているのが特徴です。
労務管理システムと勤怠管理システムは、どちらも人事・労務部門が使うツールです。しかし担当する業務範囲はまったく異なります。名称が似ているため混同されやすいですが、それぞれの役割を以下の通り整理します。
項目 | 労務管理システム | 勤怠管理システム |
|---|
概要 | 雇用契約・社会保険・年末調整など手続き全般を管理 | 出退勤の打刻・集計・勤務実績の管理 |
主な役割 | 書類作成・電子申請・従業員情報の一元管理 | 出退勤記録・残業集計・シフト管理 |
主なメリット | 手続き工数の削減・ペーパーレス化・法令対応の自動化 | 打刻ミスの防止・勤怠状況の可視化・給与計算連携 |
導入が向いている企業 | 入退社や社会保険手続きの工数を削減したい企業 | 残業管理や労働時間の正確な把握が急務の企業 |
両システムはそれぞれ独立した機能を持ちますが、API連携させることで入力の二重化を防ぎ、より大きな業務効率化が実現します。なお、多機能型の労務管理システムには勤怠管理機能を搭載している製品もあります。自社が課題とする業務がどちらのシステムと相性が良いかを確認し、必要なシステムを判断しましょう。
2026年現在、社会保険の段階的な適用拡大・マイナ保険証への完全移行・2025年4月施行の育児介護休業法改正(育休取得の個別周知・意向確認の義務化)など、制度変更は加速の一途で す。電子帳簿保存法の完全施行による書類デジタル保存の義務化も重なり、紙・対面・ハンコを前提とした従来の運用は見直しが急務となっています。
労務管理システムを導入することで、法改正への自動対応・手続きのペーパーレス化・リモート環境での業務継続を一括して実現できます。
労務管理システムの機能は、大きく①人事情報管理、②手続き・申請、③外部連携の3カテゴリーに分かれます。以下の表で、各機能が何を解決するかを確認してください。
カテゴリー | 機能名 | できること | 解決する課題 |
|---|
①人事情報管理 | 従業員情報管理 | 氏名・住所・家族構成などを一元管理。変更時は関連書類へ自動反映 | 情報が複数システムに分散しており、変更のたびに転記漏れ・ミスが発生している |
| 雇用契約書の作成・電子署名 | 契約書を電子化し、紙の印刷・郵送・保管を不要にする | 契約書の作成・回収・保管に時間とコ ストがかかっている |
| マイナンバー管理 | 収集・保管・廃棄を法令に準拠した形で一元管理 | 個人情報の管理体制が属人化しており、漏洩リスクや法令対応に不安がある |
②手続き・申請 | 入退社手続き | 入社書類の収集・提出、退職時の保険喪失手続きをオンラインで完結 | 入退社のたびに紙書類のやり取りが発生し、担当者の工数が大きい |
| 社会保険・労働保険の手続き | 資格取得・喪失・算定基礎届など各種届出書類の作成・提出を自動化 | 書類作成のたびに法令を確認しながら手作業で記入しており、ミスや漏れが起きやすい |
| 電子申請(e-Gov連携) | ハローワーク・年金事務所への届出をシステム上から直接送信 | 窓口持参や郵送対応が必要で、担当者が業務時間内に外出しなければならない |
| 年末調整 | 書類配布・回収・計算・源泉徴収票発行までをペーパーレスで処理 | 年末に書類の配布・回収・修正対応が集中し、人事担当者の負荷が跳ね上がる |
| 各種申請・承認ワークフロー | 住所変更・扶養追加などの申請をシステム上で申請→承認→反映まで一貫処理 | 申請がメールや紙で行われており、承認状況の把握や反映漏れが起きやすい |
③外部連携 | 給与計算システム連携 | 従業員情報・勤怠データを給与計算ソフトへ自動連携 | 給与計算のたびにシステム間でデータを手動コピーしており、二重入力の手間が発生している |
| 勤怠管理システム連携 | 打刻・残業・有休データを労務管理システムへ自動取り込み | 勤怠データを手動で転記・集計しており、ミスや集計工数が発生している |
ツールによって搭載機能は異なるため、自社に必要な機能を事前に整理してから選ぶことが重要です。選定時のポイントは「労務管理システムを選ぶときの比較ポイント」で解説します。
紙やExcelによる管理と比べ、労務管理システムには業務効率化から法令対応まで幅広いメリットがあります。以下では、代表的な6つのメリットを解説します。
入退社手続き・社会保険申請など、これまで担当者が手作業で行っていた業務がシステムにより自動化されます。
特に貢献度が高いのが、年末調整シーズンの対応です。全従業員への書類配布・回収・内容確認・申請が数週間のうちに集中しますが、手作業では一人ひとりの書類を確認・修正依頼・再回収するサイクルが繰り返されます。労務管理システムを使えば申告書の送付・回収・自動チェック・電子申請を一気通貫で処理でき、担当者の対応工数を大幅に削減できます。
従業員の情報を労務管理システム上で一元管理することで、情報に変更があると関連するすべての機能に自動反映され、複数のシステムに同じ情報を入力する作業がゼロになります。
入力ミスや反映漏れといったヒューマンエラーが構造的になくなるため、社会保険の申請漏れや給与計算の誤りを未然に防ぐことも可能です。
労務管理システムによって雇用契約書や各種申請書類が電子化されるため、印刷・郵送・保管コストを減らせます。書類の紛失リスクや保管場所の確保といった物理的な課題も解消します。
またe-Gov連携により、ハローワークや年金事務所への届出もシステム上から直接送信が可能です。窓口への訪問や書類の郵送が不要になり、申請に要するリードタイムが大幅に短縮します。
毎年のように改定される、社会保険手続きの様式変更や保険料率の改定、マイナンバー管理に関する法令要件は、ベンダー側がシステムのアップデートで対応。そのため 、担当者が法改正のたびに帳票を更新したり料率テーブルを手修正したりする必要がなくなります。
また、常に最新の法令に準拠した状態で手続きを進められるため、知らないうちに法令違反になるリスクを防げます。
住所変更や扶養家族の追加・削除といった申請を、従業員自身がシステム上で完結できます。従来のアナログ運用では担当者に書類を提出・確認してもらう必要があり、問い合わせや対応の往復が発生していました。
労務管理システムを導入し、従業員が自己申請できる仕組みができることにより、人事への問い合わせ件数が減り、担当者が本来の業務に集中できる時間を増やせます。
複数拠点・夜間申請など、場所や時間を問わず業務が回る
複数拠点・支店を持つ企業にとって、労務管理システム は情報を一元管理する基盤になります。従来は拠点ごとに書類を郵送・回収していた入退社手続きや年末調整も、システム上で申請から承認・反映まで完結。本社担当者は各拠点の状況をリアルタイムで把握できます。
また、就業時間外や休日でも従業員が申請できるため、担当者が勤務時間内に対応できなかった申請の漏れも防げます。
労務管理システムの導入には、事前に把握しておくべき5つの注意点があります。メリットと合わせて確認し、導入後のギャップを防ぎましょう。
労務管理システムの多くは「従業員数×月額単価」の従量課金制を採用しています。従業員が増えるにつれて利用料も比例して上がる構造のため、人員を積極的に増やしている企業では注意が必要です。
導入時の費用だけで判断すると1〜2年後に想定外のコスト増加が生じる可能性があるため、将来の採用計画を踏まえたコスト試算を事前に行いましょう。
システム稼働には、既存の人事台帳や紙書類をデジタルデータとして整備し、システムへ移行する作業が必要です。データの精度が低いまま移行すると入力漏れや誤登録がトラブルの原因になるため、移行前の棚卸しに一定の工数を見込む必要があります。この業務が年末調整シーズンや採用繁忙期と重なると担当者の負荷が大きくなるため、導入タイミングも慎重に計画しましょう。
従業員に自己申請をしてもらうには、管理者だけでなく、ITリテラシーが高くない現場の従業員も含む全員が日常的に操作できる状態が必要です。マニュアルの整備や操作説明会の実施など、導入後の社内展開に時間・工数がかかる点を見越して、スケジュールと体制を組まなければなりません。
既存の給与計算・勤怠管理システムと連携できない労務管理システムを選んでしまうと、同じ情報を複数のシステムに手入力する手間が残り、導入メリットが半減します。導入後に連携できないことが判明しても、すぐに乗り換えることは難しいため、選定段階での確認が欠かせません。
セキュリティが不十分だと情報漏えいリスクを抱え続ける
労務管理システムはマイナンバーをはじめとする従業員の機密情報をクラウド上で管理するため、情報が漏えいした場合のダメージは大きく、会社の信頼を失うリスクに直結します。セキュリティ水準が不十分な製品を選んだ場合、漏えいに気づかないまま長期間リスクにさらされ続ける可能性もゼロではありません。
ここからは、自社に合う労務管理システムを選ぶための比較ポイントを6つ解説します。機能・連携・コスト・操作性・セキュリティ・サポートの観点から総合的に検討することが重要です。
入退社手続き・年末調整・社会保険申請・e-Gov連携など、自社が抱える業務課題を解決できる機能があるかを確認します。機能が多いほど良いわけではなく、自社に不要な機能が多いプランを選ぶとコストが割高になります。
まず自社が課題と感じている業務を洗い出し、その課題に対応する機能を持つシステムを絞り込む順序で選定しましょう。
労務管理システムの機能・役割は、前章「
労務管理システムの機能・できること」で紹介しているので、あ わせてご覧ください。
すでに給与計算・勤怠管理システムを使っている場合、労務管理システム各社の公式サイトで「連携対応システム一覧」を確認し、現行ツールとの互換性をチェックしましょう。
API連携に対応していても、双方向でリアルタイム同期できるかどうかはシステムによって異なるため、デモや問い合わせで連携の深さも確認します。「何の情報がいつ反映されるか」まで把握しておくと、導入後のギャップを減らせます。
労務管理システムの料金体系は従量課金制が主流のため、現在の従業員数だけでなく1〜2年後の採用計画を加味したコスト試算が必要です。
また最低利用人数の設定があるシステムでは、現在の企業規模が少人数の場合でも一定の費用がかかる点を見落としがち。初期費用の有無・月額単価・オプション料金の内訳を比較し、将来の規模感も見越したうえで料金体系が合っているかを判断しましょう。
従業員に労務管理システムを活用してもらうためには、ITリテラシーが高くない従業員でも直感的に操作できる設計が必要です。無料トライアルでは管理者向けの管理画面だけでなく、従業員が日常的に触れる申請画面もPC・スマホ両方で実際に操作し、入力しやすいか・迷わず手続きを完了できるかを従業員視点で確かめましょう。
マイナンバーを含む個人情報をクラウド上で管理するため、ベンダーのセキュリティ対策を客観的な基準で評価することが重要です。プライバシーマーク・ISO27001などの第三者認証を取得しているかを確認し、暗号化・二段階認証・アクセスログの取得といった具体的な対策が整っているかも合わせてチェックしましょう。
労務管理システムの導入が初めての場合は、特にデータ移行支援・初期設定サポート・導入後の問い合わせ対応など、稼働までの支援体制を確認しましょう。過去データの移行や社内展開で想定外の工数が発生しやすいためです。
専任担当者によるオンボーディング支援や、チャット・電話での迅速なサポートが受けられるベンダーを選ぶと、稼働後の不安を減らせます。
労務管理システムの費用は、初期費用と月額料金の2軸で構成されます。主な料金体系ごとの相場は以下の通りです。
料金タイプ | 費用相場 |
|---|
初期費用 | 5万円〜20万円 |
月額従量課金 | 300円〜500円/人 |
価格に影響する主な要因は以下の4点です。
- 従業員数:従量課金制の場合、人数が増えるほど月額費用が上がります。
- プラン・機能グレード:労務手続きのみの基本プランか、給与計算・勤怠管理を含む上位プランかで大きく異なります。
- オプション機能の有無:電子契約・マイナンバー管理・タレントマネジメントなどは別料金になるケースがあります。
- 契約期間:月払いより年払いのほうが割安な設定が多いです。
なお、詳細な料金相場は「
労務管理システムの費用相場を解説!安く使える有名ツールも紹介」で解説しています。あわせてご覧ください。
労務管理システムの費用相場を解説!安く使える有名ツールも紹介|PRONIアイミツ SaaS
労務管理システムとは、入退社手続き・社会保険申請・年末調整をデジタル化し、担当者の手作業を大幅に削減するツールです。勤怠管理システムとは役割が異なり、手続き・申請・情報管理を担います。導入時は機能範囲・既存システムとの連携・将来のコスト試算を軸に比較し、自社の業務課題に合ったシステムを選定しましょう。
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