人事部担当者向け|おすすめ給与計算ソフト5選
更新日 2025年07月01日
昨今、企業のバックオフィス業務におけるDX(デジタルトランスフォーメーション)推進は急務となっています。
中小企業庁「2021年版中小企業白書」でも、感染症拡大を契機として中小企業の業務効率化や経理・人事領域でのデジタル化が・ITツール活用による生産性向上は大きな経営課題の一つとされています。
一方、弥生株式会社が実施した調査では、中小企業(従業員100名以下)の給与計算ソフト導入率は41.6%、とくに従業員10名未満の小規模企業では29.6%にとどまっています。依然として手作業での給与計算が多くの企業で残っている状況です。
本記事では、こうした現状と背景をふまえ、人事部門の業務効率化に重要な給与計算ソフトの選び方や、導入時のリアルな課題・失敗例・定着のポイントまで詳しく解説します。
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給与計算ソフト選定の重要視点
人事部の給与計算担当者が悩むポイントは、単なる「価格」や「知名度」だけではありません。実際に現場で“使いこなせるか”“本当に負担が減るか”という観点こそ、選定の際には重要です。
法改正対応の自動化
年度ごとに変わる税率や社会保険料の改定時期は、現場にとって毎年のストレスです。Excelや独自マクロで手直ししていた担当者が、クラウド型への切り替えで初めて「自動で最新対応できるありがたさ」に気付く例も多いです。
勤怠管理や他システムとの連携性
給与計算担当者が兼務で勤怠集計や休暇管理も行っているケースでは、勤怠管理との自動連携は“業務を止めない”生命線になります。たとえば「CSVの列順が毎月違っていて毎回修正が発生する」「タイムカードの抜け漏れが後で発覚する」といった悩みは、勤怠連携機能が解決への近道となります。
初期費用・ランニングコスト
現場にありがちなケースとして、見積もりでは安価に見えても、実際はオプション追加・従業員増加でコストが膨らむことがあります。無料プランから始めて従業員数に合わせてスムーズに移行できるソフトは、担当者にとっても安心材料となります。
セキュリティ・BCP対策
「担当者のPCが故障して全データが消えた」「USBメモリで持ち出して紛失してしまった」など、現場で想定外 のトラブルが発生することも少なくありません。クラウド型なら、こうした物理的リスクも低減できますが、逆に“アクセス権管理のミス”による情報漏洩の懸念も現実的なリスクとして意識が必要です。
クラウド型とインストール型の違い・現場での注意点
現在はクラウド型が主流ですが、導入現場では「クラウド型とインストール型で何が違うのか」「自社にはどちらが合うのか」といった疑問も根強く残っています。以下、実務視点での主な違いと注意点をコンパクトに整理します。
クラウド型(現代の標準) | インストール型(補足・例外) | |
---|---|---|
初期コスト | 低い(無料〜月額課金) | やや高め(買い切り・更新費用) |
法改正対応 | 自動アップデート | 手動更新・バージョンアップ要 |
利用環境 | リモート・複数拠点対応可 | オフライン・社内限定利用 |
セキュリティ | クラウドベンダーに依存 | 自社運用管理 |
運用の柔軟性 | ユーザー追加・削減が容易 | 担当者の異動・退職でノウハウ属人化リスク |
サポート | チャット/FAQ充実 | サポート形態は提供元による |
基本はクラウド型を推奨しますが、既存システムとの連携や特定の社内規定(ネット接続不可など)がある場合はインストール型も選択肢となります。
特に「現場の全員が紙明細前提」「ネット接続環境が整っていない」「自社独自のカスタマイズ要件が強い」といった例外パターンは、今も一部現場で見られます。現場での導入検討時は、業務フローや情報管理体制も含めて総合的に判断するのがおすすめです。
企業規模別の導入ポイント
小規模(〜10名)向けソフト
社長や総務担当が兼任で給与計算を行うケースでは、“分かりやすさ”や“サポートの気軽さ”が導入判断の決め手となりやすいです。実際、「計算式の作り込みが難しい」「社会保険の仕組みがよく分からない」といった声も多く、チャットボットやガイド機能の充実したサービスが重宝されています。
中堅(10〜100名)向けソフト
担当者が増え、役割分担が進む中で「自分以外が使うと入力のクセが違ってエラーが出る」「作業が属人化していて業務継続性が不安」といった悩みが出てきます。この段階では“複数担当者での作業分担・履歴管理”や“外部会計ソフトとのスムーズな連携”も要件となります。
大規模(100名以上)向けソフト
管理職や部門ごとに承認フローを持つ企業では「イレギュラーな手当対応」「複数拠点の給与ルール管理」など、運用ルールの多様化が課題になります。マニュアルで管理していたイレギュラー処理が、システム上での自動化・テンプレート化に変わることで、“担当者の心理的負担”も軽減できます。
人事部におすすめな給与計算ソフト5選

マネーフォワード クラウド給与
株式会社マネーフォワード
出典:マネーフォワード クラウド給与 https://biz.moneyforward.com/payroll
参考価格
お問い合わせ
マネーフォワード クラウド給与は、勤怠管理や会計、経費精算などとシームレスに連携できる点が大きな強みです。法改正や社会保険料率の変更にも自動で対応し、常に最新の計算ロジックで処理できるため、現場担当者の不安や作業負荷を最小限に抑えます。
人事・労務のさまざまな業務をまとめてデジタル化したい企業や、複数拠点・多業種を一括管理したい中堅規模以上の企業で特に評価されています。
主な機能
- 残業手当の自動計算機能
- 明細配信・照会
- 通勤手当の自動計算機能
- 源泉徴収票機能
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給与計算ソフトの導入は初めてですか?
現場で起こりがちなトラブルと対策
給与計算ソフトを導入しても、現場では多くのトラブルやつまずきが発生します。以下、ありがちなパターンを分かりやすく整理します。
勤怠データ取り込み・締め処理
勤怠システムのデータを毎月取り込む際、CSVのフォーマットや列順が微妙に変化していても気付きにくいものです。そのままアップロードした結果、シフトや時間外労働が正しく反映さ れていなかった、というミスが毎月繰り返される現場も少なくありません。
また、現場で口頭や紙ベースで修正が行われたにもかかわらず、システムに反映されないまま処理が進み、後で未精算の控除や残業が発覚するケースも多く見られます。
ポイント
- CSVやExcelのレイアウト変化は見落としやすい
- 修正は証跡を残してシステム化
- 締め日ルールの明文化と習慣化が大切
年末調整・社会保険料の計算ミス
年末調整や社会保険料率の改定は毎年発生しますが、設定を前年のまま流用してしまい、法改正対応が漏れる例が目立ちます。控除の入力欄を間違えたり、住民税や扶養家族情報の更新が遅れたりすることで、従業員からの問い合わせやクレームにつながることも珍しくありません。
書類の提出遅れやマイナンバーの入力漏れが、後日の追加作業を招くことも多いです。
ポイント
- 前年設定の流用は危険
- 年末調整や社会保険のチェック体制を強化
- 情報更新フローの明文化を徹底
ソフト乗り換え・データ移行時の注意点
システムの切り替え時、旧ソフトから新ソフトへのデータ移行で文字化けや項目不一致が発生することは非常によくあります。特にカタカナの氏名や、明細内訳の項目が新旧で異なり、振込先口座や扶養情報が抜け落ちるといったトラブルも見逃せません。
移行作業を十分にテストせず手入力で乗り切ろうとすると、データ整合性の崩壊につながるため、移行時のチェックリスト作成や並行稼働による突合確認が重要です。
ポイント
- テスト移行と項目一致の突合は必須
- 並行稼働で差異発見を徹底
- 手入力頼みの対応は避ける
担当者交代・引き継ぎのリスク
長年の属人化や独自ルール、マクロに依存した運用が残っていると、担当者の異動や退職時に手順が誰にも分からず、業務がストップするリスクがあります。
マニュアルやFAQが整備されていなかったり、バージョンアップや法改正情報が現場担当者だけにとどまっている場合、組織全体でのリスク対応ができなくなります。
ポイント
- 属人化や独自ルールの放置は大きなリスク
- マニュアル整備と定期的な業務棚卸しが重要
- 管理職含めた情報共有が必要
導入後、現場で定着させるための施策
マニュアル整備と研修
「担当者しか分からない」「マニュアルが古くて役立たない」といった状況 は、急な引き継ぎやミス時の混乱を招きます。複数担当者が迷わず使えるよう、動画マニュアルや“シーン別QA”を整備するのが有効です。
月次チェックルーチンの導入
「毎月の給与日直前だけ慌ててチェックする」では、うっかりミスや確認漏れが起こりやすくなります。月初に“勤怠データと給与試算値の突合”を習慣化し、チェックリストで確認履歴を残すことで、属人化やミスの連鎖を防ぎます。
効果測定と改善の可視化
導入効果が不明確なままでは、現場の納得感が得られません。「導入前後の作業工数比較」「入力ミス件数の記録」「従業員からの問合せ件数」など定量指標で成果を可視化し、必要に応じて運用フローを見直すことが、ソフト定着の推進力となります。
まとめ
中小・中堅企業において、給与計算ソフトの導入は業務負荷軽減・属人 化防止・法令順守の面で大きな効果があります。特にクラウド型は初期費用が低く、リモート対応や自動アップデート、勤怠連携などの実用面でも優位です。対して、インストール型は用途とコスト感に応じて選択肢になります。
本記事では給与計算ソフトを比較するために、カスタマイズ性・価格・導入支援体制などを踏まえて整理しました。ぜひ導入してDXを推進しましょう。
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